【2015年一番笑った本】お腹が弱い人にはもれなく読んで欲しい。『そして生活はつづく』/星野源さん
何度読んでも笑える、衝撃的に面白いエッセイに出会った。
全部の話のオチを覚えてるのに、今でも読み返す度にケラケラ笑ってしまう。
その本とは、みなさんご存知であろうさくらももこさんの「もものかんづめ」だ 。
その本とは、星野源さんの『そして生活はつづく』。
紅白出場も果たし、ライブのチケットを手に入れるのはかなりの難易度。
紅白出場も果たし、ライブのチケットを手に入れるのはかなりの難易度。
最新アルバムは大ヒット。役者としても引っ張りだこと、すっかり人気者になった星野源さん。
私もファンの1人ですが、ファンになったきっかけはこのエッセイを読んだこと!
2009年に単行本を発売し、2013年に文庫化。
文芸PR誌『ウフ. 』(現在は休刊)の連載をまとめたものだそうです。
文芸PR誌『ウフ. 』(現在は休刊)の連載をまとめたものだそうです。
もうね、1つめのエッセイから超面白い。
なんと「携帯の料金支払いに行くのが面倒で仕方がない」って話が何ページも続くんです。
これをネタにして読み手を楽しい気分にさせるの、すごいですよね。
これをネタにして読み手を楽しい気分にさせるの、すごいですよね。
この時点で大分惚れ込みました、私は。笑
さらに言うと、源さんはお腹が極度に弱いらしく、そのエピソードがちょこちょこ散りばめられているのが個人的にツボです。
全国のお腹が弱い方はみんな共感できると思います!笑
どのエッセイもドラマチックな出来事を取り上げているわけではなく、タイトルの通り「生活」の一場面を題材に、やさしい語り口で書かれているので読み心地も抜群。
芸能人の方のエッセイで、華やかな交友関係とか、お仕事の裏話的なものが書かれているのもすごく面白くて好きなんですが、源さんのこの「ふつう」を書かれた小説は、「芸能人でもこんなにふつうに暮らしてるんだ」っていう逆の意味で面白いですね。
あとがきに、
高校生の時に松尾スズキさんの初エッセイ『大人失格』を読んで以来、ずっと自分の本を出すことを夢見て暮らしてきました。
と書かれているのですが、源さん、文章の連載のお仕事がしたくて、自分で営業をなさってたんだそうです。
その頃は今ほどの知名度は無いし、もともと文章を書くことをお仕事にしている方ではないので、1件連載をとるのも大変だったそう。
当たり前といえば当たり前ですが、音楽やって、お芝居やって、さらに文章書く仕事を自分でつかみにいくなんて、忙しいスケジュールの中でこんなに頑張りたいことがあるの、本当にすごい!
本編もめちゃくちゃ面白いのでゆっくり読んでいただいたいのですが、私が大好きなのは「文庫版あとがき」のこの文章。
「なにげない日常の中に素晴らしいものがある」どや顔でそんなことを言う人は苦手です。「なにげない日常」の中には「なにげない日常」しかない。素晴らしいものなんてない。その中から素晴らしさ、おもしろさを見いだすには、努力と根性がいります。黙ってても日常はおもしろくなってはくれない。見つめ直し、向き合って、物事を拡大し新しい解釈を加えて日常を改めて制作していかなきゃらない。毎日をおもしろくするのは自分自身だし、それをやるには必死にならなきゃ何の意味もない。
つまり、一生懸命生きなきゃ毎日はおもしろくならないってことだ。
この本を書いた頃は、そのシンプルな結論までたどりり着けなかったけど、執筆中やっていたことは、「物事を拡大して日常を改めて制作する作業」そのものだったんじゃないかと思います。
源さんのファンの方はもちろん、そうじゃない方にとっても純粋に読み物として楽しめる1冊だと思います。
リアルに、こんなに笑えた本は10年ぶり、ってくらい。おすすめです!
文庫なのでお手頃価格ですし、どうぞうっかり手を出して、どっぷりハマって下さいませ。
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