足りますか、足りません。でもいいんじゃないですか。│【小説】勝手にふるえてろ/綿矢りささん
「足りますか、足りません。でもいいんじゃないですか。」
友達から、冒頭のフレーズを教えてもらって読んでみた小説。
綿矢りささんの「勝手にふるえてろ」。
とどきますか、とどきません。足りますか、足りません。
おすすめしてもらった通り、最初の文章がお気に入り。
とどきますか、とどきません。光りかがやく手に入らないものばかり見つめているせいで、すでに手に入れたものたちは足元に転がるたくさんの屍になってライトさえ当たらず、私に踏まれてかかとの形にへこんでいるのです。
そう、私だって、上ばっかり見て欲しいものしかありません。
あるものに目を向けろ、っていうアドバイスはものすごく分かります。
でも、キラキラした人もモノも世の中にはありすぎるから、どうしても目を奪われるし、手を伸ばしたくなってしまう。
あわよくば自分もキラキラの一部になりたいと思って、バタバタと手を伸ばして苦しい。
この気持ちは私もいっしょ。
あるものに目を向けろ、っていうアドバイスはものすごく分かります。
でも、キラキラした人もモノも世の中にはありすぎるから、どうしても目を奪われるし、手を伸ばしたくなってしまう。
あわよくば自分もキラキラの一部になりたいと思って、バタバタと手を伸ばして苦しい。
この気持ちは私もいっしょ。
足るを知れ、って言いたいのかって?ちょっと違う、足らざるを知れって言いたいの。足りますか、足りません。でもいいんじゃないですか、とりあえず足元を見てください。あなたは満足しないかもしれないけれど、けっこう良いものが転がっていますよ。色あせてなんかいません、まだ充分使えます。ほかの誰かにとっては充分うらやましいんじゃないですか、
「足らざるを知る」こと、めちゃくちゃ大事な気がします。
「足るを知る」なんて無理でしょう。
現代人ですもの、TVを観れば、ネットを見れば、SNSをちょっと除けば、自分になくて誰かにあるものが秒速で10個くらい見つかります。
足りないです。自分の人生、びっくりするほど足りないです。
でも、足りない自分を受け入れないと、生きづらいんです。
そう、少しでも幸せに生きるためには、足らざるを知らないと。
スイスイ読める恋愛小説
ストーリー自体はあっさりです。
ラーメン頼んだら濃い目のうどんだったくらいのノリであっさり。
個人的にはあっさりすぎる気もしますが、割とさわやかな読後感なのと、リズムよくとっても読みやすいので、普段読書をあんまりしない方にもおすすめ。
あらすじはというと、「自分が好きな人」と「自分を好きな人」との恋愛が軸になっています。
(そんな煽りの映画が最近ありましたね…『ヒロイン失格』か。)
(そんな煽りの映画が最近ありましたね…『ヒロイン失格』か。)
好きな(というか、なるほど!ってなる)フレーズが1つあったのですが、ネタバレになるので引用はやめときますね。
ちょっとした偶然を運命にするのも、運命をただの偶然にするのも、人間のエゴ。
恋愛って人間のエゴで形成されてるんだなっていうのが感想です。
明日はバレンタイン。エゴを使えば、偶然を運命に変えられる日ではないでしょうか。
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