何度恋をしてもそれはやっぱり初恋│[エッセイ]倒れるときは前のめり/有川浩さん
「図書館戦争」「フリーター、家を買う。」「阪急電車」「植物図鑑」「キャロリング」などなど、数々のヒットを飛ばしまくっている有川さんのエッセイ集。普段そんなに本を読まないという方でも聞いたことのあるタイトルが多いのではないでしょうか。
倒れるときは前のめり/有川浩さん
倒れるときは前のめり/有川浩さん
倒れるときは前のめり
いろいろな場所で書かれていた連載やエッセイをまとめたもので、結構ボリュームのある一冊。一気に全部読まなくても、興味のある部分を拾い読みしても楽しめるかと思います。
阪神淡路を体験された有川さんから見た、東日本大震災後の「自粛ムード」に関して、小説の映像化に関して、昨今の出版業界のお話など、やや時事っぽいテーマのエッセイもあれば、地元の高知県への愛ある文章、好きな本や映画に関して、ご自身の創作方法に関するお話など盛りだくさん。作家さん目線の印税やらのお話もあってそのあたりも面白いです。
私は高校の時に「図書館戦争」を読んで有川さんにハマったクチで、図書館戦争は読み終わって3週間くらいは堂上さんと結婚したくてたまらなかったくらいのめりこんでました…笑
予想を裏切るようなトリッキーな小説も面白くて好きですが、有川さんの恋愛小説は、結構予定調和なものも多いです。たぶんこうなるんだろうな、って予想通りにストーリーは進む、なのに読んでいて楽しい、面白い、感動しちゃう。
それはなんでなんだろうって思っていたのですが、このエッセイを読んで納得しました。
この本の中で私の一番お気に入りのエッセイは、恋愛についてのものなのですが(p225-)
同じ恋は一つもないから何度恋をしてもそれはやっぱり初恋で、だから官能にも慣れは訪れないのだと思います。
恋をしている人がとても好きです。恥じらいながら怯えながら、慄きながら、あるいは積極的に――恋愛という官能に溺れている人はとてもキュートでセクシーです。(中略)
そして――みんなみんな、最後の恋にたどり着くまでに転んでも負けるな!恋する人との約束だ!
こちら、とっても素敵じゃないですか?
こんな恋愛観を書く方が、あの小説たちを書いていると考えると、非常に納得でした。
巻末には過去に発表された短編小説が2つ収録されているのですが、どちらもオチが想像できていてもキュンとする、主人公に幸せになって欲しいなって思ってしまうストーリーでほっこり。
わかっていても感動できるのってなんなんですかね。私はいつも彼女筆に魅せられっぱなしです。
最近は、恋愛もロジカルに!みたいなのが結構流行ってますよね。
「恋愛は確率だ」「女性の価値と値段の相関関係はこれこれだ」「学ぶべきは恋愛工学だ」
こういうロジックで恋愛を解く、みたいなのも、読むのは面白いので好きなのですが、
やっぱり誰かに恋愛観を尋ねられたら、有川さんが書いていたような素敵な返しがしたいなあ。(まあ尋ねられないですし、尋ねられたら困るのは困るんですけど…笑)
照れくさいから、自信がないから、自虐的に恋愛観を語る人が多いけど、
まっすぐな恋愛観を持つ人にはきっと素敵なストーリーが用意されているのではないでしょうか。
、、、なんて、甘いかな。
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